518: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/11/28(日) 00:13:45.34 ID:MJMUKdI8o
打ち止めは一方通行を見上げながら、
打ち止め「……ねえ、あなたは悲しくないの? ってミサカはミサカは冷静な表情のあなたを見て聞いてみる」
一方通行「俺には悲しンでいる暇なンてねェよ。俺にはやることがあンだ」
打ち止め「やること?」
一方通行「ああ。これから結標には命を狙われるに等しいくらいの危険が迫ってくるだろォ。だから、そォなる前に俺が見つけ出してやらなきゃいけねェ」
以前、打ち止めの流す涙は止まらない。
だが、彼のその言葉を聞いて打ち止めの口元が緩む。
打ち止め「……そう、なんだ、ってミサカはミサカは勝手に納得してみる」
一方通行「あァ? ナニ勝手に納得してンだ?」
一方通行の問に対して特に返答することなく打ち止めは立ち上がる。
涙に濡れた目を服の裾で拭いて、赤みがかった目を一方通行へと向けた。
打ち止め「ねえ、アクセラレータ。アワキお姉ちゃんを絶対に連れ戻してね、ってミサカはミサカはお願いしてみたり」
一方通行「連れ戻すだァ? 馬鹿なこと言ってンじゃねェよ。今の結標はオマエの知っている結標じゃねェっつっただろォが。そンな女を連れ戻してどォするってンだ」
打ち止め「たしかに今までのことも覚えていないのかもしれないし、性格だって全然違うくなってるかもしれないよ。けどね」
打ち止めは笑った。ニッコリと、心の底から溢れ出てきたような笑顔で。
打ち止め「アワキお姉ちゃんがアワキお姉ちゃんであることには変わりないよ! 一度仲良くなれたんだから、もう一度仲良くなることだってできるよ! きっと!」
打ち止めの一切の疑いもない自信に溢れた目を見て、一方通行は馬鹿馬鹿しいと思った。
結標淡希はもともと裏の人間だ。裏にいるってことはそれ相応の闇を見てきたということだ。
そんな女と目の前にいる少女が以前の関係を取り戻すことができるとは到底思えない。
だからこそ一方通行は、
一方通行「わかった。あの馬鹿女を必ずここに連れ戻してきてやる」
打ち止め「うん! 約束だよ、ってミサカはミサカは小指を突き出してみたり」
一方通行「ああ、約束する」
二人の小指が結ばれた。
これ以上、絶対にこの少女を泣かせてはいけない。そのためには、必ず結標淡希を見つけ出さなければならない。
一方通行は、自分の中にある意思がより強まったのを感じた。
一方通行「……さて、俺は行く。いつ戻れるかわからねェし、何なら戻ってこられるかもわからねェ。それだけは覚悟しとけ」
打ち止め「覚悟なんていらないよ。どうせあなたは帰ってきてくれるでしょ? だって約束したんだもの、ってミサカはミサカは当たり前のことを言ってみたり」
自信満々の顔をする打ち止めを見て少年はげんなりとした表情を浮かべる。
一方通行「あー、そォいや一個言うの忘れてた」
打ち止め「何?」
一方通行「明日……いや今日か。今日の八時くらいにここへある人が尋ねてくるはずだ。オマエは俺がいない間ソイツと行動をともにしろ」
打ち止め「それはいいけど、ある人って誰なの? ってミサカはミサカは疑問を浮かべてみたり」
一方通行「なァに、オマエがよく知っているヤツだよ」
―――
――
―
841Res/1732.47 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20