結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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511: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/11/27(土) 23:54:53.76 ID:G65aU121o


美琴「精神系能力者に治させるとかは? 食蜂のヤツはもちろん、食蜂以外でも記憶喪失を治せるような精神系能力者の人がいると思うわ」

一方通行「そォだな。それが可能なら一番イイ方法だ。けど、実際に今日までその方法が使われてないっつゥことはそれができなかったっつゥことだ」

美琴「うーん、まあたしかにそうね。食蜂がそんな誘いに乗るかどうかも怪しいし、仮に他に治せる能力者たちがいたとしても同じく協力してくれるとは限らないわね」


 一方通行の視点から見ても第五位の少女は、このような話に賛同しないことは何となくわかっていた。あくまでそんな気がする程度の話だが。
 彼女のことは基本的に謎に包まれている。彼女が何を思い、何のために、どういう行動をするのか。彼は何も知らない、わからない。
 ということは、食蜂は基本的に表に素性を出さないようにしているということだ。
 そんな彼女が表に出せないような計画のために、一人の少女の記憶喪失を治してくれ、と言われて二つ返事で了承するとは思えない。
 その行動一つで、どれだけの自分の情報をバラ撒いてしまうのかわからないのだから。
 
 
 
一方通行「こォいう感じにヤツらの中にある案が次々と挙がっては却下されていったンだろォ。そして、ヤツらは結局この方法を取った」


 美琴と黒子を一度見たあと、一方通行はその方法を挙げる。
 

一方通行「記憶が回復するきっかけを無理やり起こすことにより、記憶を回復させるっつゥ手段だ」

黒子「きっかけ、ですの?」

一方通行「ああ。第五位が言っていたが、あのタイプの記憶喪失はふとしたことがきっかけで回復することがあるらしい」

美琴「へー、つまりそのきっかけっていうのを自発的に起こして記憶を戻させるってことね?」

黒子「しかし、それは難しいのではないでしょうか? まずそのきっかけというのがなにかわからなければいけませんし、何よりそれを自発的に起こすことによりその方たちの足がついてしまうのでは?」

一方通行「オマエの言う通りだ白井。しかし、そのきっかけっつゥのがすでにわかっていて、それを足がつかないよォに行えることなら可能なンじゃねェのか?」

黒子「た、たしかにそうですが」


 美琴が眉をひそめながら一方通行を見る。
 

美琴「……アンタ、知っているのね? そのきっかけっていうヤツを」

一方通行「知っている、っつゥのは語弊があるかもな。あくまでそォじゃねェかっつゥ推測に過ぎねェ」


 一方通行は手品のネタバラシをするかのように、ゆっくりと喋り続ける。


一方通行「去年の九月一四日。結標淡希を中心とした抗争。その中でアイツと深い関わりのあった人物との接触」


 それを聞いて美琴がピクリと反応する。
 
 
美琴「それってまさか……!」

一方通行「ああ。『御坂美琴』。『白井黒子』。そしてこの俺『一方通行』のことだ」

黒子「なっ……!」


 自分たちの名前が突然出てきたことにより、少女二人の動きが固まる。
 それに対して一方通行は何も喋らない。
 沈黙。ビルの裏に取り付けられている換気扇のファンの音だけが耳に入ってきた。
 
 しばらくして、美琴がはっ、した。


美琴「……ってことは私たちは、その計画を実行したいヤツらに嵌められてこんなところに立っているってこと!?」


 美琴は先程出会った男を思い出していた。ボロボロの体で自分へ助けを求めてきた男を。
 たしかによくよく考えてみればおかしい点がある。彼はここに能力者に虐げられている仲間がいると言っていたはずだ。
 しかし、ここにはそんな人たちは見当たらず、いたのはたしかに結標淡希ただ一人だった。


黒子「ば、馬鹿なッ! わ、わたくしはジャッジメントとしての任務でここまで来ましたのよ!? それがそんな訳のわからないものたちの策略などと……!」


 大きく目を見開かせながら声を荒げる黒子。
 彼女はジャッジメントの仕事を自分の誇りとしている少女だ。そんな部分を利用されたと知れば、こうなるのも無理はない。
 だが、一方通行はそれを冷静に返す。





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