結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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510: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/11/27(土) 23:49:49.96 ID:G65aU121o


 その言葉に美琴が理解したような反応をする。
 

美琴「……そうか。結標が記憶を取り戻したら、裏の記憶や知識を取り戻すということだから、必然的に裏の世界に戻ってくるってことね?」

黒子「しかしそれはおかしくはないでしょうか?」

美琴「おかしい?」


 黒子の反論に美琴が首を傾げる。
 

黒子「ええ。記憶を取り戻してもあくまで元の記憶や知識が蘇るだけですの。その時点では自分は記憶喪失中は表の住人だったという記憶も存在するはずですので、必ず裏の世界とやらに行くとは限らないのでは?」

一方通行「それに関しては裏に行くという確信のある情報がある」


 黒子の推論を否定するように情報を後付する。
 
 
一方通行「結標淡希の記憶喪失は元あった記憶とその人格が奥底に封じ込まれ、新しい人格が記憶のない状態から結標淡希を演じるというタイプのものらしい」

黒子「なるほど。つまり、記憶を取り戻した時点で記憶喪失中の記憶はない、九月一四日時点の裏の住人である結標淡希の人格が蘇るということですわね」

美琴「な、なんでそんなことがわかるわけ? 記憶喪失なんて症状見ただけじゃどういうのなんかわからないじゃない」

一方通行「これは第五位。精神系能力者の頂点に立つ食蜂操祈から教えてもらった情報だ。あえて虚偽の情報を教えられたとかじゃねェ限り間違いねェよ」

美琴「……アンタ、あのときそんなことを話してたの?」

一方通行「ああ」


 美琴は三月一三日のことを思い出していた。
 一方通行と食蜂操祈が神妙な顔付きで話をしていたときのことを。

 それに、と言って一方通行は付け加える。


一方通行「さっき結標が俺に向けてきた目は、まさしく九月一四日、俺と敵対関係にあったときのアイツと同じモノだった。つまり、第五位の言ったことは間違いなかったっつゥことだ」


 その目付きとは恐怖。嫌悪感。絶望。様々な負の感情が混ざりあったモノ。
 今までの結標淡希が決して向けてくることがなかった目だった。
 
 話が逸れちまったな、と流れを修正し一方通行は続ける。


一方通行「さて、これでクソ野郎どもの目的が『結標淡希の記憶を取り戻す』ことに定まった。なら、ヤツらはどォ動くか」

黒子「在り来たりなところを挙げると、学園都市には記憶喪失を治療する薬品などザラにありますの。それを結標淡希に投与すれば戻るのでは?」

一方通行「それがわかりやすい方法だろォな。だが、その薬品をどォやって結標に投与する?」

黒子「そ、それは……」

 
 すぐに思いつく答えが出ないのか、黒子は言葉を詰まらせる。
 
 
一方通行「脳への投薬は風邪薬みてェに錠剤飲むだけで終わるよォなモンじゃねェ。然るべき施設で専用の機器を使うよォな治療になる」

一方通行「そンな大掛かりなことをやる場合必ず足がつく。表に情報を晒したくねェヤツらは絶対にこの方法を避けるだろォ」

一方通行「それを度外視したとしても、まず結標の同意を得て施設に招き入れなきゃいけねェ。だが、俺に言われて警戒心が強まっている結標をそンなところに騙し入れるなンて難しいだろォよ」


 つまり投薬で記憶喪失を治そうとするのは難しい、と一方通行は言う。
 ならばと美琴が代替案を出す。





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