結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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507: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/11/27(土) 23:40:34.88 ID:G65aU121o


 風紀委員(ジャッジメント)の同僚との通話を終えた黒子が端末を切った。
 険しい表情をしている黒子を見て、美琴が問いかける。


美琴「どうしたのよ黒子?」

黒子「……いえ、急に結標淡希の追跡が打ち切りになったという連絡を受けましたのよ」

一方通行「何だと? どォいうことだ白井」

黒子「盗難品であるキャリーケースを確保できているから、それ以上の追跡は無意味ということで打ち切りになった、と上から通達が来たそうです」

一方通行「上、っつゥのは」

黒子「はい。ジャッジメントの上層部のことですわ」

一方通行「……チッ、そォいうことかよクソッタレが」


 黒子の言葉を聞いてから、一方通行の表情が怒りの表情へと変化していく。
 歯を食いしばり、ギシシと擦れる音が鳴る。


美琴「ど、どういうことなのよ? 何かわかったの一方通行!?」

一方通行「……オマエら、結標と知り合いだったよな」

黒子「はい。さっきも言ったとおり」

美琴「それがどうかしたのよ?」

一方通行「だがオマエらは知らねェよな? アイツが記憶喪失になっていたっつゥことはよォ?」

黒子「なっ!?」

美琴「記憶喪失!?」


一方通行からの出てきた突然の事実に、二人は驚愕する。


一方通行「ああ。アイツは去年の九月一四日以前の記憶がない、記憶喪失者だ」

美琴「九月一四日っていえば……あの日じゃない!」

黒子「たしか結標淡希は何者かの襲撃を受けたことにより大怪我を負い、病院に搬送されたと聞きましたわ」

一方通行「その何者っつゥのがこの俺、一方通行だ」

美琴「あ、アンタがあれをやったっていうの……? たしかにあの現場を見る限り、あんなことができるのはアンタくらいしかいないけど……」


 美琴が顎に手を当て考え込む。当時のことを思い出しているのだろう。
 一方通行は当時結標淡希を狩るために、一帯にある道路を砕き、周囲にあるビルのガラスを叩き割った。
 大地震が起きた後のような惨状だった。たしかに、美琴の言う通りあのようなことができる者は限られるだろう。


黒子「なぜ貴方がそんなことを?」

一方通行「あァ? それはそこにいるオマエのお姉様と同じ理由だ。つまり詳しくは聞くなっつゥことだ」

美琴「あ、アンタもあの子達のために……?」


 美琴は一方通行の赤い瞳を見る。一方通行は特に答えない。
 目で会話している二人を見て、黒子はため息をついてから、


黒子「わかりましたわ、詳しくは聞きませんの。で、つまり貴方が結標淡希を病院送りにして、それが原因で彼女の記憶が喪失した、そう言いたいんですのね?」

一方通行「物分りが良くて助かる」

美琴「たしかにそう考えたら、アイツの反応や行動に対する違和感に説明がつくわね」


 そこで「んっ?」と黒子の動きがピタリと止まる。





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