結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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498: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/11/27(土) 23:22:29.39 ID:G65aU121o


黒子「……この場合、貴方がこの女をかばって虚偽の情報を言っている可能性がありますが、それが虚偽ではないという証明はできますの?」

一方通行「その時間は第七学区の駅周辺を歩いていたはずだ。そこらの監視カメラとかの映像を見れば証明できるだろ」

黒子「しかし、それを確認するためには手間と時間がかかりますわ」

一方通行「どォいう意味だ?」

黒子「こちらがもらった犯人の容姿と彼女の容姿は告示しておりますし、わたくしも衛星カメラからの映像で追跡してここまでたどり着き、彼女と出会いました。そして何より」


 黒子が結標の側で倒れているキャリーケースへ目を向けた。


黒子「盗難品であるこのキャリーケースを持っていたという事実があります。貴方の言うように犯人では無いにしろ、何かしら事件へ関わりがあったということが考えられますの」

黒子「強盗犯の疑いがある以上、ここで拘束させていただき、連行させていただくことには変わりはありませんわ。アリバイ等の確認はそれ以降になるかと」

一方通行「…………」


 たしかにそうだ、と一方通行は言葉を飲んだ。
 あのキャリーケースは自分も知らないものだ。自分と一緒に居たときはあんなものの存在は欠片たりとも認識していなかった。
 そこで一方通行の中で一つの疑問が浮かんだ。
 
 彼女はいつ、どこであれを手に入れたのだろうか。


一方通行「……オイ、白井」

黒子「何でしょうか?」

一方通行「その女と話をさせろ」

黒子「……それは構いませんが、妙なことをしましたら貴方も共犯者とみなし拘束対象になるということは忘れずに」

一方通行「ああ」


 そう返事をし、一方通行は結標淡希へ向けて足を進めた。
 しゃがみ込み、うずくまっている彼女の肩を揺さぶりながら喋りかけた。


一方通行「オイ。オイ、淡希」

美琴(……淡希?)


 美琴が彼の言葉に眉をひそめた。
 しかし、一方通行はそれに気が付くことなく続ける。


一方通行「聞こえてンのか? オイ!」

結標「…………、うっ」


 何度もかけられた声にやっとのこと結標は反応を示した。
 唸り声のようなものを吐きながら、少女は目の前に顔を上げた。


結標「だ、誰……ッ!?」

一方通行「あン?」


 結標と一方通行の目が合った。その瞬間変わった。
 少女の顔に映る、何が起こっているのかわからないと困惑している表情から一気に。
 死を目の当たりにしたときのような、恐怖で顔を歪めた表情に。


結標「あ、一方通行……?」

一方通行「……どォした? あわ――」

結標「い、イヤッ!!」

一方通行「ッ!?」


 結標は短い悲鳴を上げた瞬間、空気を切るような音とともにその姿を消した。
 その場に残っていたのは彼女の手の自由を奪っていた拘束具と、アスファルトに倒れたキャリーケースだけだった。




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