結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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497: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/11/27(土) 23:20:30.47 ID:G65aU121o


S3.トリガー


 第七学区にある地裏の開けた場所、そこに四つの人影があった。

 一つは一方通行(アクセラレータ)。
 杖の付いていない左手を首に当て、頭左右に揺らしてゴキリと音を鳴らしながらその場に立っていた。

 一方通行の位置から五、六メートル離れた位置には三つの少女の影。

 一人は御坂美琴。
 目の前に急に現れた一方通行を警戒するように、彼の姿を目に見据えながら身構えていた。

 一人は白井黒子。
 同じく突然現れた一方通行に驚き、少し混乱している様子だった。

 一人は結標淡希。
 少女二人の足元でうずくまり、頭痛がひどいのか両手で頭を抱えている様子だった。


一方通行「――もォ一度聞く」


 沈黙を破ったのは一方通行だった。


一方通行「これは一体どォいう状況だ? ここで何があったって言うンだ?」

美琴「そ、それは……」

黒子「お姉様」


 何かを喋りだそうとした美琴の前に、黒子は手を出し制止した。
 ここは風紀委員(ジャッジメント)として自分が喋らなければいけないという、意志の表れだろうか。


黒子「本日の一七時四〇分頃、わたくしが所属している風紀委員活動第一七七支部へ強盗事件が発生したという旨の通達を受けました」

黒子「わたくしはその強盗犯を拘束する任に付き、今まで追跡行動を取っていました」

黒子「そして、その結果こうして強盗犯を確保することができ、これから連行をしようしているところです」


 黒子がひとしきり説明したあと、一方通行が口を挟む。


一方通行「……で、そこに転がっている女がオマエの言う強盗犯っつゥことか?」


 一方通行は二人の後ろでうずくまっている少女に視線を移した。
 腰まで伸ばした赤髪を二つに束ねていて、腰に巻かれたベルトには軍用懐中電灯が引っ掛けられている。
 結標淡希。先程まで自分と行動をともにしていた女。
 何度見返しても紛れもない自分のよく知る女が目に映るだけだった。
 その彼女が強盗犯という扱いを受けていると知り、一方通行は口を開く。


一方通行「ソイツは何かの間違いだろ? その女が強盗犯なわけがねェだろ」

黒子「それは、どういうことですの?」

一方通行「その女にはアリバイがある。なぜなら、アイツはその事件発生時は俺と一緒にいたからな」


 一方通行は先程少女の言った言葉を思い出していた。
 今日の一七時四〇分頃に事件発生の通達が来た。つまり、事件はその時間以前に起こったことになる。
 その時間帯は、たしかに自分と結標淡希が一緒に居た時間だ。ショッピングモールからの帰り道で歩きながらなんてことのない雑談をしていた記憶がある。
 自分の記憶が正しければ彼女はそんな強盗なんていう行為はしていないし、自分の目を盗んでそういう行為を行う時間もなかったはずだ。





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