146: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/08/13(金) 22:10:20.36 ID:d6Ws/u/Ao
一方通行「…………」
食蜂「さて、ここまで説明すれば私の言いたいことが嫌でも分かってくるんじゃないかしらぁ?」
一方通行「……そォだな。要するにアレだろ。アイツの記憶喪失が治った場合、半年前の人格、今のアイツとはまったく関係のない結標になっているっつゥことだろ?」
食蜂「そうよぉ。ちなみにこの三つ目パターンの記憶喪失っていうのは、一つ目のやつと同じでちょっとしたことで記憶が戻ってくるかもしれないわぁ」
一方通行「つまり、もしかしたら明日記憶が戻っているかもしれないし、一年後に戻ってくるかもしれない、そォいうことか?」
食蜂「まあ、その記憶が戻るトリガーが何かによるかな。それが普段の彼女にまったく関係ないものなら戻らないし、身近だけど出会ってないものならすぐにでも戻る可能性があるしぃ」
一方通行「……で、こんなところでわざわざそんな記憶喪失の説明会開いて、一体オマエは何が言いたいンだよ?」
食蜂「それ、本気で言ってるワケ? だとすると本当にアナタは理解力のない間抜けな人間ってことになるのよねぇ」
一方通行「何だと?」
食蜂「分かってないのなら教えてあげる。彼女が記憶を失ったのは去年の九月一四日。原因はアナタ、一方通行との交戦での頭部へのダメージ」
食蜂「つまり、半年前の結標さんからしたら、アナタは同じ家に住む居候同士でもなければ同じ高校に通うクラスメイトでもない」
食蜂「ただの、自分に危害を加えた『恐怖』の対象でしかない」
一方通行「……ああ。たしかに俺はあの時アイツと接触し、明確にオマエを倒すと宣言し、圧倒的なチカラで叩き潰した」
一方通行「そンなヤツがいきなり目の前に現れて、恐怖を覚えねェほうがおかしい」
食蜂「よかったわぁ、ちゃんと理解してくれてるのねぇ。だったら、改めて聞かせてもらうわぁ」
食蜂「アナタはいつまでこの偽りの中を過ごしていくつもりなのかしらぁ? いくらアナタが今の彼女と思い出を作っていっても、たった一つのきっかけで全てが壊れてしまう」
食蜂「そんな辛い結末が待っている物語を、アナタはまだ紡いでいこうと言うのかしら」
一方通行「…………」
食蜂「……そう。それがアナタの答えなのねぇ。ふふっ、カッコイイじゃなぁい?」
一方通行「ッ!? オマエ俺の思考を……!」
食蜂「ただその考えは逃げに過ぎないわぁ。与えられた選択肢を選ぶことなく保留にして、自分で答えを出そうとしない受け身な考え」
食蜂「まあでも、アナタがそれで良いと思っているなら、それもある意味一つの答えかもしれないしねぇ」
一方通行「…………」
食蜂「さて、これでお開きとしましょうかしらぁ? そろそろ御坂さんが来てもおかしくない時間だしぃ」
一方通行「……そォだな。これ以上オマエと話すことなンてねェ」
食蜂「あ、そうそう。最後に一ついい?」
一方通行「あン?」
食蜂「もし結標さんの記憶が戻ってしまって、アナタが前の結標さんのほうがいいなぁ、なんて思ったりしたら私に言ってちょうだい。私の能力を使って――」
ガシッ!
一方通行「…………」ギロッ
食蜂「あらぁ、女の子の胸ぐら掴むなんていけな――」
一方通行「人の記憶を玩具扱いしてンじゃねェぞ。クソガキが」
食蜂「ふふっ、冗談よぉ。そんな怖い顔なんかしちゃダメだゾ☆」
一方通行「……チッ」パッ
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