2:名無しNIPPER[sage saga]
2021/06/23(水) 22:48:53.34 ID:SDd2HCINO
「どうして笑ったんだい?」
コクピットも制圧し、ハウンゼンは無事に地上に着陸することが出来た。
テロリストの身柄を押さえた青年が大佐に銃を手渡しているのを横目に、私は一足先に機内から出ようとして、また彼と目が合った。
今度はきちんと彼が私を私と認識している。
それが嬉しくて、知らず知らずに微笑んだ。
その時のことを尋ねられた際、それをそのまま説明するのは不本意なので、私はテロリスト制圧時に気づいた仮説について口にした。嘘をついた。
「今思いついたんだけど、あなたこそがマフティーと名乗るべき人だと気がついたからっていうのはどう?」
すると、彼はよくある態度で否定した。
やましいことのある大人がよく使う常套句。
嘘つきとまでは思わない。人目の多い場所で口にすることではないという自覚はあった。
彼は言葉は人の命を奪えると説教をした。
そんなつもりはなかったと私は弁明した。
彼はそれ以上責めなかった。許してくれた。
彼に許されて初めて、私は嫌われたくなかったのだと自覚した。嫌われるのは、困る。
ハサウェイ・ノアにそばに居て欲しかった。
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