1:名無しNIPPER[sage saga]
2021/06/23(水) 22:45:16.85 ID:SDd2HCINO
「やっちゃいなよ、そんな偽物なんか」
ハウンゼンが地球に降下したそのタイミングで乗り込んできたテロリストはマフティーを名乗り、そしてひとりがマフティー・ナビーユ・エリン本人であると口にした。
しかし、どうにも胡散臭かったので試しに名前について追求したところ、彼は自分自身の名前の意味についてさえ自覚していなくて、疑惑は確信に変わった。
このマフティーを騙るかぼちゃ頭は偽物だ。
丁度、通路を挟んだ向こうの席の軍人らしき青年がテロリストと対峙していたので発破をかけてみると彼は唖然として私を見つめた。
まるで、私の後ろにいる別の女性を見つめるかのような彼の目が、少しだけ気になった。
音を置き去りにした一瞬の空白の後、テロリストを一瞥すると即座に彼は制圧に動いた。
それに呼応して息を合わせるように連邦軍の大佐と思しき軍人も動き、弾き飛ばされたマシンガンが私の足元へと転がってきた。
「きゃっ」
驚いて座席に尻餅をつくと、既に客室のテロリストは制圧されていて大佐の静止も聞かずに青年はコクピットへと向かっていく。
その手際の良さと身のこなしの軽やかさは特殊部隊の隊員というよりも、むしろ彼こそが過激派のテロリストのようで……なるほど。
なんだか私、気づいちゃったかも知れない。
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2021/06/23(水) 22:48:53.34 ID:SDd2HCINO
「どうして笑ったんだい?」
コクピットも制圧し、ハウンゼンは無事に地上に着陸することが出来た。
テロリストの身柄を押さえた青年が大佐に銃を手渡しているのを横目に、私は一足先に機内から出ようとして、また彼と目が合った。
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