【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」【安価】
1- 20
766:いぬ ◆FaqptSLluw[sage saga]
2021/07/13(火) 20:35:29.92 ID:M5vaZgf60
――マヤノトップガンにとって、シンボリルドルフとは”越え難い壁”だった。

 皐月賞での敗北以前に、シンボリルドルフは絶対的な勝者の象徴だった。

 非常に高い実力、怜悧な判断力――それに、ウマ娘の未来を想い行動する、気高いまでの理想。

 それらを兼ね備えるシンボリルドルフは、本質的に強者なのだ。

 だから、シンボリルドルフと一人で対面したマヤノトップガンは、わずかな恐怖に身を震わせそうになっていた。だが、それでは自分を信じて席を外してくれたトレーナーに示しがつかないと考え、きつく両手を握ることで自信を律していた。

 方やシンボリルドルフは、そんなマヤノの調子に気付いていた。そもそも観察眼にも長けるシンボリルドルフが、マヤノトップガンが抱く畏怖に対して気付いていないわけがない。それに、畏怖とはシンボリルドルフが最も受け慣れている感情の一つであるからにして。


「緊張しているようだな。もっと落ち着け。おちおち着けもできん」
「……そう、ですね」
「……。おちおち、着けは少しこじ付けに過ぎたか」


 場を和ませるためのジョークだったが、マヤノトップガンにそれを咀嚼する余裕はない。ましてそれがわかりづらいジョークであるならばなおさらだ。

 シンボリルドルフは心のノートに、要改善とメモを書き足し――マヤノトップガンの対面に腰を下ろす。


「冗談は置いておこう。マヤノトップガン――君と話してみたかった」
「……。そうかも、しれません」
「いつもの話し方でいいぞ。――それに、こうして君と話しているのは……先ほども言ったが、純粋に君と話してみたかったからだ」
「……なら、いつもの喋り方で」


 マヤノがぎこちないながらも元の口調で話し始めると、シンボリルドルフは表情に微笑を浮かべた。


「……マヤノトップガン、君は随分と――大きな”想い”を背負って走っているんだな」
「そうかも……。トレーナーちゃんがループするって聞いて、負けられないな、って」
「……私も、担当トレーナーがそうなると聞いては余計な力が入りかねない。君の心中は察するに余りあるよ、マヤノトップガン」


 安い同情だ、とはマヤノトップガンは思わない。マヤノトップガンの背負う思いが大きいものであるのならば、シンボリルドルフのそれは非常に”多い”。

 質と量という違いはあるが、背負って走るときの負担は勝るとも劣らない。――端的に言えば、二人は似た者同士であるとも言えた。

 だからといって、傷を舐めあうことはしない。出来ない。それはシンボリルドルフが皇帝であるから、それはマヤノトップガンが信頼の上で此処に居るから。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/543.55 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice