【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」【安価】
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765:いぬ ◆FaqptSLluw[sage saga]
2021/07/13(火) 19:55:23.71 ID:M5vaZgf60
「――初めまして。学園では生徒会長を務めさせていただいています、シンボリルドルフです」
「初めまして。おおよそ理解してもらっているとは思うが、マヤノトップガンのトレーナーをやらせてもらっている者だ」


 席を立ちあがり、シンボリルドルフに握手を求める。

 すると、彼女は少しだけ表情をほぐして、差し出された手を握り返してくる。……さすがは生徒会長か、受け答えは洗練されている。


「……さて、おおよその事情は理事長から聞いております。何でも、ループと思わしき現象に巻き込まれているとか」
「その通りだ。……と言っても、信じられる話ではないかもしれないが」
「いえ……。職務上様々な申請などに目を通す機会がありますが――貴方の職務に対する姿勢は評価されるに相応しいものだと考えております」


 そういわれると、少し恥ずかしい気持ちになる。こうして、ウマ娘の育成以外の業務について触れられる機会はほぼほぼ無いし。

 頬をかけば、シンボリルドルフからくすりと、笑い声が漏れた。


「……失礼。これから真剣な話になるので、もう少し緊張した雰囲気になると思っていたもので……。ループという不明な出来事の前で――どうやら貴方は怯んでいないようだ」
「違うな、怯んではいる。……けど、怯んでいては勝てるものも勝てないと思っている」
「……。おっしゃる通りかと」
「賛同に感謝するよ――」


 そこで、ふとシンボリルドルフの目つきが鋭くなる。……恐らくは、ここまでの会話は本題へ至るための前座に過ぎない。いわゆるウォームアップだろう。

 俺の予想は合致していたらしく、「さて」と一言呟いたシンボリルドルフの目は鋭くなる。


「……恐らくご理解いただいているものかと思いますが、念のために――。先ほど秋川理事長からもご連絡いただいたこととは存じますが……不明な現象のために、他のウマ娘の夢を奪うわけにもいきません」
「むろん承知しているよ。――そして、多分俺もマヤノも、それは望まない」
「……そうですか。とりあえず、詳細を煮詰めるのはこちらにお任せいただけますか?」
「ああ、俺たちではわからないこともあるだろうしな」


 そう答えると、シンボリルドルフは軽く頭を下げる。


「では――後日副会長であるエアグルーヴともご挨拶していただければ、と」
「訓練後に時間を取りたいと思っている。頼めるか?」
「ええ、こちらもトレーニングを行う必要があるので、トレーニング後であればかえって好都合でしょう」
「助かる。――話はこれくらいか?」


 ええ、とシンボリルドルフは頷いた。……考えれば考えるほど、何故ここにシンボリルドルフが呼ばれたのか不明だが、こうして顔合わせをすることで円滑に進むこともあるのだろう。

 そう考えた時だ。ふと、シンボリルドルフが声をかけてきた。


「……マヤノトップガンと少し話がしたいのです、良いでしょうか?」
「……。マヤノは、どうだ?」
「マヤは――。マヤは、話してみたい、話す必要があるって、そう思うな……」
「マヤがそういってるなら、俺としては止める理由がない。……席を外したほうがいいか?」
「はい、少しの間――。お願いできますか?」


 頷くなり、俺はたづなさんと理事長と連れ立って部屋から出ていく。理事長室なのに理事長が席を外すのは――なんとなく、織り込み済みである雰囲気を感じるが……。


「これも、想定済みでした?」
「……不明。敢えて答えを言う必要もなかろうッ!」
「それ、もう答えてるような気が――」



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