小林「あなたは……誰ですか?」トール「……えっ?」【小林さんちのメイドラゴンSS】
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195: ◆bhlju8wMK6[saga]
2023/05/29(月) 23:15:45.87 ID:BsrFHKfa0

小林「一段階、上とは……?」

ルコア「こちらの世界と…… ああ、少し言いにくいから、こちらの人間が暮らす世界を“人間界”、
    魔法やドラゴン、神が存在するあちらの世界を“魔法界”と仮に呼ぼうか」

ルコア「まず、トール君を初め、力あるドラゴンは、この人間界Aと魔法界Aを行き来する事が出来る。
    その一方、それらとそっくりな人間界Bと魔法界Bが、また別個に存在していると考えてみよう」

ルコア「この時、AはAで、BはBで一つのまとまりとなっていて、AとBのまとまりの間はそれらよりも離れているとしたら?」

滝谷「それぞれの並行世界の中が、更に人間界と魔法界に分かれている、入れ子構造って事ですか?」

ルコア「そう! 例えば人間界Aと魔法界Aは一つのシャボン玉の中にあって、1枚の膜で分かれているだけであり、
    その一方で人間界Bと魔法界Bはまた別のシャボン玉の中にある様な……」

トール&エルマ「???」

カンナ「ルコアさまの説明、ちんぷんかんぷん」ノーン

ルコア「あー…… ごめん。逆に分かり難い例えだったね。僕が読んだ本ではこういう説明だったんだけど……。他に分かりやすい例えはないかな?」

滝谷「う〜ん……」

小林「……こういうのはどう? 並行世界を、家に例えるんだ」

トール「家?」

小林「うん。並行世界同士は、見た目も、中身の間取りも、住んでいる人もそっくりな家で、それらは隣同士に建ててあるとする」

小林「それぞれの家の中は、ルコアさんの言う人間界や魔法界と呼ばれる部屋があり、扉と壁で仕切られている」

小林「この場合、人間界と魔法界の移動は同じ家の中で隣の部屋に動くだけだけど、
   並行世界の移動は部屋から出て、家からも出て、隣の家に行ってまた部屋に入る様なものだから――」

トール「そっか、だから並行世界への移動の方がより手間が掛かって面倒、って事ですね!」

小林「そんな感じ! ……でどうすか?」チラッ

ルコア「うん、分かりやすい例えだと思うよー」ニコッ

カンナ「私もなんとなく分かったー」

エルマ「う、うむ! 私も(ぎりぎり)理解したとも!」

終焉帝「――うむ。凡俗ながら的確、平易故に明解な比喩である」

トール(! お父さん!?)

終焉帝「難解な事象を平凡な語彙で諭す事は、難解な語彙で諭す事よりもなお勝る……。小娘が、良くやるものだ」ゴゴゴ

小林「……は、はあ。その…… どもです」ペコ

小林(……凡俗や小娘って言われたけど、これは褒められたんだろうか……?)ヒソヒソ

滝谷(ど、どうだろ。褒められたんじゃない……?)ヒソヒソ

ファフニール「――あの終焉帝が人間如きを手放しに称賛するとはな……」ゴゴゴ

トール「――ええ、最高級の賛辞ですよ! 良かったですね、小林さんっ!」コソッ

小林(あ、ほんとに褒めてたんだ……)

滝谷(あれで最高級……? やはりツンドラ……)

終焉帝「………………………」ゴゴゴ




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