小林「あなたは……誰ですか?」トール「……えっ?」【小林さんちのメイドラゴンSS】
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◆bhlju8wMK6
[saga]
2023/03/27(月) 22:28:51.26 ID:Mi2UAr//0
小林「ちょっと……!?」
トール「……ふ……っ! ふっ…………っつ!」フルフル
小林「トールちゃん、大丈夫!? しっかり、焦らず、ゆっくり呼吸して……」サスサス
トール「…………っ」コクリ
エルマ「ルコア殿、今の発言、どういう意味ですかっ!」キッ
ルコア「うん。厳密に言えば、夢とは言ってもより詳細で具体的な想像……
そうだな、こっちの世界で言う“シミュレーション”という奴かな」
エルマ「シミュ……? ってそうではなく――」
トール「…………っ、続けて下さい」フウッフウッ
エルマ「! トール……」
小林「トールちゃん、無理しちゃ……」
トール「二人共、心配ありがとうございます。でも、聞かなきゃ始まらないっ……!」グッ
ルコア(……ごめんね、トール君。君の強さに甘えてる。せめてその心意気に応じよう)
ルコア「……了解した、続けるよ」
トール「……………………」コクリ
ルコア「僕の仮説はこうだ。まず一年前、神との戦いで深手を負ってこちらの世界に逃げてきたトール君は、話の通り、とある山奥に落ち延びた」
ルコア「神の剣に貫かれ瀕死となったトール君は、傷を癒す為にそこで眠りに就いた。仮死状態と言い換えてもいいか」
トール「………………」
ルコア「その間、肉体は休眠している訳だが…… ドラゴンの感覚というものは、人間のそれより遥かに発達している。
だから、眠った状態でも周囲の状況をある程度把握できていても不思議はない」
ルコア「……そう、たまたま近くをうろついていた人間の事を知覚する事も」
トール「! ……それが、小林さんだと……?」
ルコア「ああ。結局彼女――小林さんは、トール君に気付かずに通り過ぎて行ったかもしれないが、
彼女を知覚した君は夢見る中で、こう思ったんじゃないか?」
ルコア「『願わくば、自分も勢力の立場から自由になって、他者と交流してみたい』と」
トール「………………!!」
ルコア「さっきも言ったが、ドラゴンの感覚は極めて鋭い。それのみに集中すれば、町一帯の生命体の言動を全て把握する事も可能だ」
ルコア「そして同様にその頭脳、特に演算能力も人間より遥かに優れている。
――知覚した周囲の情報から、極めて精確な未来予測(シミュレーション)を行う事も可能な位にはね」
トール「………………つまり、私は………………」
ルコア「ああ。この一年間、夢の世界――ただしそれは極めて具体的で現実に近い、それこそ“有り得たかもしれないもう一つの世界”――
で過ごしていたのかもしれない」
ルコア「この場合も、君の記憶は決して偽物という訳ではない。ただ、現実の出来事ではなかっただけで」
ルコア「そして一年経ち、傷が癒えて目覚めた君は現実の空に飛び立った。――夢と現実を区別しないまま」
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