小林「あなたは……誰ですか?」トール「……えっ?」【小林さんちのメイドラゴンSS】
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◆bhlju8wMK6
[saga]
2023/03/27(月) 22:24:16.36 ID:Mi2UAr//0
トール「でも…… では他にどういった可能性が……?」ウ〜ン
ルコア「……僕も話を聞いていて思った事と、そこから考え付いた仮説があるんだけど、言ってみても良いかな」
トール「思った事と、仮説……? はい、お願いします」
ルコア「うん。まず思ったのは、トール君の記憶と僕達、そして小林さん達の記憶との相違点についてだ」
ルコア「この一年間における僕達の記憶は、一見するとその大部分で差異が生じている様に思えるけど……
本質的に違うのは、多分たった一点だけだと僕は思う」
トール「たった一点……? それって……」
ルコア「君も気付いてるんじゃないかい? 丁度一年前、『この世界に逃げ延びたトール君が、山中で小林さんと出会ったかどうか』さ」
トール「……!」
ルコア「それ以外の相違点は、あくまでその一点の違いから連鎖的に生じた、副次的なものに過ぎないんじゃないかな。
いくらその違いが劇的に見えても、ね」
ルコア「ほら、トール君にとってのこの一年間は全て、小林さんと出会った事で成り立つもののはずだろう?
小林さんが神剣を抜いてくれたからトール君は一命を取り留め、
小林さんが誘ってくれたからメイドとして小林さんちに住み込み、
小林さんとの生活を通じて様々な人間との交流が行えた。
また小林さん側も、トール君と出会いメイドとして住み込んでもらえた事で空き巣の被害を防止でき、
空き巣による疲弊がなかった事で上司のパワハラの証拠集めを気取られる事もなく、
それ故に失職する事も無くなり、フリーランスになる事もなかったろう。
僕達ドラゴンからしても、そもそもトール君が失踪せず生きている事が確認できていたなら、
何度も捜索する事も、終焉帝が神に一騎打ちを仕掛ける事もなく過ごしていただろう。
トール君の記憶通り、こちらの世界に遊びに来る事もあったかもしれない」
トール「確かに…… そう考えれば色々と話がすっきりしますね」
ルコア「だろ? とりあえず、ここまでは双方の話を照らし合わせて思った事。
ひとまずこれを真として…… ここからがそれを元に考えた仮説なんだけど」
トール「はい」
ルコア「……………………」
トール「……ルコアさん?」
ルコア「……ん。ちょっとショックな事言うかもだけど、良いかい?」
トール「! ……はい、大丈夫です」ゴクッ
ルコア「うん。その、ね――」
ルコア「――トール君にとってのこの一年の記憶は、もしかしたら全て夢なんじゃないかな」
トール「―――――――――――」カヒュッ
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