小林「あなたは……誰ですか?」トール「……えっ?」【小林さんちのメイドラゴンSS】
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181: ◆bhlju8wMK6[saga]
2023/03/27(月) 22:20:37.01 ID:Mi2UAr//0

ルコア「まず差し当たってトール君。君は今日1日、町中を飛び回って色々と見聞きしてきた様だけど……」

ルコア「その中で、この状況について説明する為の仮説とかは、考えたりしたかい?」

トール「仮説…… ですか」

ルコア「ああ、簡単な所感でも構わないから、あれば聞かせて欲しいのだけど」

トール「仮説…… 道中で考えたものは、一つありました」

トール「……でも今は、正直、良く分からなくなりました」

ルコア「ほう?」

トール「初めは…… 今日の朝、異変に気付いてからは、誰かの陰謀を疑っていました。
    私に敵対する何者かが、高度な魔法を用いて皆の記憶の改竄などを行って、私を孤立させようとしているのでは、と……」

トール「でも、小林さんと滝谷さんの話、そしてルコアさんの話を聞いてたら…… 『それは無理だろ』と思い直しました」

小林「そうなの? いや、魔法については良く分からないけど……」

トール「はい。私に関する記憶を皆から根こそぎ消す、という大雑把な処理ならともかく……
    私がいなかった場合の1年分の偽の記憶を、詳細に、筋道立てて創り上げて、私の関係者全員に植え付ける、なんていうのは私でも困難……
    というか、考えたくない手間のかかる行為です」

トール「ましてや、小林さんや滝谷さん達の様な、魔法への防衛手段のない一般の人間だけでなく、
    私達、それも最上位のドラゴンであるお父さんやルコアさん達も含んだ方々の記憶すら操り、操った事すら気取られない――
    なんて、私を倒した神ですらきっと至難でしょう」

トール「そんな事が出来る者がいたとしたら、それはもう――」

ルコア「――ああ。それはもう神をも超える、まさしく全知全能の“超越者”だ」

ルコア「“それ”を想定してしまうなら、それこそ何でもあり。
    仮説にどんな矛盾や難点があろうと、全能であれば通せてしまうからね。考察するのが馬鹿馬鹿しくなる」

トール「はい。だから、その…… っ……」グッ

トール「……まだ、私一人の記憶が何者かにイジられている、という方が現実的で……」

ルコア「ん〜いや、それも同様に考え難いかな」

トール「!」

ルコア「トール君も最強格の存在達には及ばずとも、充分に上位の力を持ったドラゴンだ。
    そんな君の記憶を違和感も与えずに改竄する、なんて芸当は僕や終焉帝でも困難だ」

小林「うん。それにトールちゃんの話はしっかりとした感情や実感に溢れてた。偽物の記憶だなんて、私達には思えないよ」

滝谷「うん、右に同じ」グッ!b

トール「皆さん……」

ルコア「何にしろ、全能でその痕跡も残さない超越者というのは考えられない―― いや、厳密には“考えても良いが意味がない”。
    もし本当にそんな事が出来る相手が敵なら、僕達が何をしようと敵いはしないからね」

ルコア「それに、そこまで出来る存在がトール君や僕達に敵対しているというなら、
    今度はなぜわざわざ“記憶を改竄する”なんて迂遠な方法を採るのか? という疑問が生じる。
    トール君を攻撃するにしろ絶望させるにしろ、何でも出来るならもっとやり様はあるだろうしね」

ルコア「少なくともこの仮説は、他に考えられる可能性が全て棄却された時、もしくは超越者の存在を示す証拠が出てきた時、
    初めて考慮すれば良い程度のものだ。今は置いておこう」

トール「そうですね……」




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