30:名無しNIPPER[saga]
2021/05/16(日) 20:42:31.25 ID:emsexCaj0
苛々とする。
どうしてしつこく話しかけてくるんだろう。
どうして真っ直ぐにこちらを見て、何かを伝えようとしてくるのだろう。
いらない。何もいらない。
「…トレーナー君がさぁ、トレーナー君が、私の一着を望んでいるんだよ」
私にこれ以上話しかけてくるな。吐き気がする。
「私はそう決めたんだ…だから…一着をとらないと…」
トレーナー君は、何て言っていたっけ?
「負けない。誰にも負けない。絶対に、絶対に」
彼女のために、私は。
「トレーニングをしないといけないんだ」
苦しい間は、何も考えずに済む。何もかもを。全部。
「だから、邪魔をしないでくれよ」
私は、だから、なんで、私は。
「私は…」
ルドルフは痛まし気にこちらを見ていた。
それでも彼女は、口を開いた。
「何のために君は走るんだ?」
「知らない」
約束したから。
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