高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「『あいこカフェ』で」
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27:名無しNIPPER[sage saga]
2021/05/16(日) 14:44:37.34 ID:eE/KPeRw0
 何度かテラス席と店内を十何往復することでようやく落ち着くことができた。廃棄物を抱えて建物の外周からゴミ置き場へと放り投げ、勝手口からバックヤードまで。壁に背を預けて大きく大きく息を吐く。

 疲れたー……。

 瞬間的に化けることは簡単でも、やり続けるのは楽じゃない。これが1日通しての撮影なら最初にスイッチみたいな物が入ったりするしやり通せるんだけど、なにせ急だったから……。ウィッグの蒸れもホントに鬱陶しい。寝室まで戻って、そういえば朝駆けで布団も畳んでいなかったことを思い出す。けっこう綿密に計画を練ってたのに、いろいろ綻んじゃったね。でも、これも楽しいからいっか♪
 藍子も楽しんでいたみたいだし。額の汗を手袋の甲で拭う時に、少し違った笑い顔をしていたように見えた。

 体中の汗を拭き終えたら、Pさんに頼まれた雑用をいくつか片付けて再びカウンター裏へ。
 今は私1人。扉の向こうでは助っ人も到着し、そこそこ慣れた店内が広がっていた。2日続けて歩き回り続けたスタッフさんへ、藍子がねぎらいの言葉をかけてゆく。その途中で私を探していたみたいだけど、じ、と視線を送っていると私がここに戻ってきていたことに気付いて、こちらへやって来ようとした。その足取りが、急にピタリと止まった。

 ……何かあった?

 慌てて壁時計の時間を確認しているみたい。
 つられて私もスマフォを取り出す、14時43分……? いつの間にこんなに経っていたんだろ――。

 あっ。

 彼女らしい時間。藍子らしい時間って……もしかして、15時?

 半信半疑の合点に首を傾げている間に藍子がばたばたと駆け込んでくる。荷物や衣装をまとめておいた寝室からいくつかの道具を手に戻ってきた、と思うと後ろからPさんが同じく焦りの表情でついてくる。
 どうやら正解だったみたい! っていうか、ステージのことなら私にも相談してよ。こういう時こそ私の手伝いでしょっ?
 ……朝は寝ちゃってたけど。


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