28: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/04/29(木) 04:43:56.60 ID:yj3euRj70
「あのね……あのねプロデューサーさん!」
これはいけない!
フランケンシュタインは大きくてカッコいいだけじゃないんだって教えてあげなきゃ。
「フランケンシュタインはね、怖くてカッコいいのは見た目だけで……内面は、人間と変わらないんだよ」
「……そうなのですか?」
フランケンシュタインはジェイムズ・ホエール監督の映画『フランケンシュタイン』の影響で、ほとんど知能が無い異形の大男というイメージを持たれてしまっている。
けれど原作では……
「フランケンシュタインはね……言葉を話せるし難しい本だって読める、人間と変わらない知性があったの。……だけどカッコいい見た目を理由に迫害されて、人間と変わらない心は……傷ついていっちゃうの」
プロデューサーさんに説明しながら、やっぱりプロデューサーさんはフランケンシュタインだなって感じてしまう。
だってプロデューサーさんは私たち皆に優しくて一生懸命なのに、見た目のせいで何度もひどい目にあっている。
けど――プロデューサーさんとフランケンシュタインには、決定的な違いが一つだけあった。
「やがて絶望したフランケンシュタインは、生みの親であるヴィクター・フランケンシュタインにあるお願いをしたの。そのお願いは――」
『自分はひとりで、そしてみじめだ。人は誰も交わりを持とうとしない。だが自分と同じくらいに醜く恐ろしい生き物なら、自分を拒むことはないだろう。自分の伴侶は自分と同じ種族のもので、同じ欠陥を持たねばならぬ。そういう生き物を創ってもらわなくてはならぬ』
※メアリ・シェリー著、森下弓子訳『フランケンシュタイン』(創元推理文庫、1984)より。
「……というお願い」
「……しかしその願いは」
フランケンシュタインの一番有名なシーンを聞いて、その先の展開を思い出したのかな……? プロデューサーさんの顔が曇ってしまう。
ヴィクター・フランケンシュタインは怪物の“花嫁”を創ることを引き受けたのに、怪物と怪物の間に子どもが生まれることを恐れ、ほとんど完成していた花嫁を破壊してしまう。
「この先の展開は怪物でも可哀そうだと感じましたが……怪物が人間と変わらない心を持っていたと知ると、切ないですね」
「うん……でも、プロデューサーさんは大丈夫だよ」
「え……?」
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