19: ◆Kg/mN/l4wC1M
2021/03/19(金) 12:17:24.00 ID:wEzeH4cQ0
彼は少し息を吐いた。
そして、私を見た。
真剣な目だった。
「──馬場このみさん。もしよかったら、本当にアイドルとしてやってみませんか?」
「……ええっ!? アイドルって……私が!?」
彼は私に頷いて、両手で名刺を差し出した。
嘘や冗談ではないことは、これ以上ないほどに彼の瞳が証明していた。
私は、自分の身体の温度が上がっていくのを感じた。
熱を出した時みたいに、自分の鼓動の音が、良く聞こえた。
私はそっと深呼吸をした。
──彼に気づかれないように、そっと。
「うーん、アイドルねぇ。私、就職したかったんだけど……」
そう言って私は、頬を掻いた。
指先が顔に触れた瞬間から、頬が熱を持っているのが分かった。
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