14:名無しNIPPER[sage saga]
2021/03/14(日) 21:08:17.40 ID:UGFpCWbxO
「カナヲとやら」
「はい」
「前途は多難だろうが、精進しろ」
「はい、心得ました」
とびきりの冗句を返したのに義勇さんはくすりとも笑わずに、そしてカナヲも真顔で神妙に頷いている。冗談だったのに、なんで?
「では、俺はそろそろ行く」
「もう任務に赴かれるんですか?」
「ああ。せっかく取り戻した力を持て余すわけにはいかない。鬼を斬るのが存在意義だ」
そう語り、出陣する義勇さんの背中は大きくて遠く、まだ手を伸ばしても届きそうにないけれど、それでも俺はせめて言葉だけでも。
「すぐに追いつけるように頑張りますから」
義勇さんは立ち止まらない。言葉を重ねる。
「だからそれまで、どうかご無事で!」
「……後ろ髪を引くな。太刀筋が鈍る」
素っ気ない言葉を残して彼は去って行った。
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