13:名無しNIPPER[sage saga]
2021/03/14(日) 21:05:54.04 ID:UGFpCWbxO
「目覚めたか、炭治郎」
「義勇さん……」
ふらりと、義勇さんが見舞いにやってきた。
男に戻った彼は、以前よりも大きく見えた。
ひとまず、迷惑をかけたことを謝るべきか。
「あの、ご迷惑をおかけして……」
「迷惑をかけたのは俺のほうだ」
「炭治郎に近づかないで」
義勇さんが俺の傍に寄ろうとすると、警戒したカナヲが両手を広げて通せんぼした。
彼は困ったように眉を下げつつ、諭す。
「心配せずとも、炭治郎を取りはしない」
「……わかりました」
カナヲが両手を下ろすと、義勇さんはじっと俺を見つめて、ため息混じりにこう呟いた。
「お前が女だったら良かったのにな」
「また世迷言を!?」
「本気にするな。ただの冗談だ」
刀に手をかけるカナヲを制しつつ、ムフフと笑ってみせ、冗談であると示す義勇さん。
そんな彼に、俺も出来る限りの冗句を返す。
「たとえ女だろうと、男だろうと、魂の色や形は変わりません。だから、俺は変わらず、義勇さんのことが好きですよ」
もしも魘夢が血鬼術で作り出した夢の世界に義勇さんが囚われたならば、その無意識領域に存在する核の色は鮮やかな青色な筈だ。
それを俺はきっと、美しいと思うだろう。
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