72:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 12:02:31.39 ID:j5Vg4AXZO
ようやく涙が収まったころ、
彼女の手を払って僕は身体を起こす。
「大丈夫?」と尋ねる彼女に、
73:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 12:07:22.66 ID:j5Vg4AXZO
「……バレてた?」
バツが悪そうに、頭をかきながら彼女は言う。
「なんとなく」と僕は言う。
74:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 12:11:14.40 ID:j5Vg4AXZO
「弟が何考えてるのか、
気付いたら私には全然わからなくなっててね。
天使化が始まるちょっと前だったかな。
ある日の深夜、あいつは無免許のくせに家の車に勝手に乗り込んで。
75:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 12:15:27.77 ID:j5Vg4AXZO
「So, Bye-Bye, Miss American Pie.
あの歌は、弟が妙に気に入っててね。
ちっちゃい頃から頑張って、歌詞覚えて歌ってた」
76:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 12:20:18.51 ID:j5Vg4AXZO
「伝えればいいじゃん」と僕は言う。
「一発ひっぱたいて、そっから話を聞いてやればいい」
彼女は怪訝そうに僕の顔を見る。
77:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 12:22:10.61 ID:j5Vg4AXZO
しばらく、二人して黙って突っ立ったまま、
燃え続ける校舎とその周りを飛び交う天使たちを眺めていた。
帰るかと呟いて、僕は踵を返す。
78:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 12:24:51.46 ID:j5Vg4AXZO
正直な話、それからのことはよく覚えていない。
だけど彼女の家のリビングで一晩中、
いろんなお酒を二人でしこたま飲み漁ったってことは確からしい。
79:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 12:28:34.68 ID:j5Vg4AXZO
***
二日酔いが明けたらすぐ、
80:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 12:31:55.24 ID:j5Vg4AXZO
天使になることへの理由が一つできた僕は、
きっといつか、天使になるのだろう。
他の人たちと、そして彼女と同じように。
81:名無しNIPPER[saga]
2021/02/28(日) 12:33:23.96 ID:j5Vg4AXZO
両手で頬をぺしぺし叩いて、気合を入れる。
よっしゃ。
それじゃあひとまず、ロサンゼルスまで。
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