2:名無しNIPPER[sage saga]
2021/02/20(土) 21:12:17.94 ID:sqwkfqcmO
「黒いの。暇ならちょっと付き合いなさい」
「はあ? 嫌に決まってるじゃないの。馬鹿なの? 頓死するの?? 頓死すれば??」
その日、私は将棋会館で対局を終えて帰宅しようとしたら空銀子に捕まった。最悪だ。
私をどこかに連れ出そうとする彼女に、当然ながら反発する。すると、ペシンっと。
「うるさい。姪弟子の分際で口答えするな」
「な、殴ったわね……!」
痛みこそないものの、頬を張られた事実によって私のはらわたが煮えくり返った。
「お返しよ!」
「あ、八一」
「ッ!?」
棒切れみたいな脛に蹴りを入れようとすると、不意に空銀子が私の背後を見てその名前を口にしたので、慌てて振り返ると。
「ガキが。何を色気づいてるんだか」
「ぐっ……よくも……そんな嘘を……!」
師匠である八一の姿はなく、空銀子の嘲笑が耳朶を打つ。白熱する視界と熱い吐息。
これほどまでの怒りを覚えたのは初めてだ。
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