玉座の間にて
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8: ◆CItYBDS.l2
2021/02/02(火) 18:59:16.34 ID:acYUvXZS0

「勇者は、女神の加護を受けていたと聞きます。神の力をもってしても、蘇生は不可能でしょうか?」

「ふむ、神もまた理外の存在。ならばあるいは―――相分かった。
いや、判らぬことが多いが人間が先の王を討ち取ったという事実を知れたのみで充分」
以下略 AAS



9:今日はここまでです ◆CItYBDS.l2
2021/02/02(火) 19:00:30.71 ID:acYUvXZS0

「我は魔王。全てを擂り砕き、打毀し、滅尽せし存在。光を闇に、希望を絶望に。罪を賞に、生を死に。ハライソを地獄に。悉くを覆し、万物を翻せ。王の名のもとに命ずる、フィンブルヴェト大いなる冬の使徒として、その先駆けと成れ」

その豪然たる声明に、私の拳は震えを止めた。
魔王の御手と、淀みなき眼が指し示す敵は人類。
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[sage]
2021/02/03(水) 10:45:49.02 ID:9e96Rs/yO
おつおつ


11: ◆CItYBDS.l2
2021/02/03(水) 22:31:21.58 ID:MC1F9erq0

魔王を討ち果たした男。果たしてこれは虚言ではないのか。
そう疑わせるほどに、男の表情は柔和で人懐こいものであった。
加えて、そのししむらの果敢無げさよ。

以下略 AAS



12: ◆CItYBDS.l2
2021/02/03(水) 22:31:59.33 ID:MC1F9erq0

「いえ、仰りたいことはわかります。ただまあ、我らは勇者の血筋でありますれば」

私の心中を慮ったその言葉に、ひとまずの安堵の息がこぼれる。
やはり、印象に違わぬ配慮をもった青年だ。
以下略 AAS



13: ◆CItYBDS.l2
2021/02/03(水) 22:32:37.43 ID:MC1F9erq0

「ははは、まあご先祖の働き以降は特に活躍なく辺境にて暇を持て余していました故。
ご存じなくとも仕方ありますまい」

「しかし、今ここに我らは魔王を打ち倒した新たな英雄を迎えているのだ。
以下略 AAS



14: ◆CItYBDS.l2
2021/02/03(水) 22:33:04.38 ID:MC1F9erq0

「およそ500年程前の話にございます。
我らが先祖は、僅かな仲間と共に破壊の権化である魔王を打ち倒し。
その、働きから当時の王より『勇者』の号を賜りました。

以下略 AAS



15: ◆CItYBDS.l2
2021/02/03(水) 22:33:41.06 ID:MC1F9erq0

首をひねる。それは実に妙な話であった。
戦場に身を置く男衆にしてみれば、剣を抜くなど息をするのに等しき行い。
たかが、剣を抜くことをもってして勇気ある者と称するとは実に奇異ではないか。

以下略 AAS



16: ◆CItYBDS.l2
2021/02/03(水) 22:34:11.37 ID:MC1F9erq0

「あの、大変失礼いたしました。なにぶん、礼儀を知らぬ田舎者ゆえ……」

「すまぬ。少しばかりからかっただけだ。続けてくれ」

以下略 AAS



17: ◆CItYBDS.l2
2021/02/03(水) 22:34:39.91 ID:MC1F9erq0

初めて聞く話であった。それに、魔王が倒れた今確かめようのない事実でもある。
しかし、魔王の下に送り込んだ戦士たちが勇者一党を除いて誰も戻らなかったことを思えば、その恐ろしさは真実なのであろう。

「そして、その子孫である貴殿もまたその栄華に授かったわけだ。
以下略 AAS



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