楓「恋と呼ぶのでしょう」
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5: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/01/30(土) 07:36:22.82 ID:/1fb2KCg0
※ ※ ※



 それからというもの急に忙しくなり、目まぐるしい日々となった。

 マネージャーの説得、スケジュールに組まれていたモデルとしての仕事の消化、部署を異動する手続き。

 これまでのゆったりとした日々からの変化に振り回されたけど、疲れよりも楽しさの方が大きかった。

 それに何より、モデルの時にはいなかった仲間と呼べる存在がいる。

「え、楓さんもアイドルになったんだ!? またよろしくね★」

 モデルの時に何度か一緒に仕事をして、よく私に声をかけてくれた美嘉ちゃん。

「あ……あの……よろしく……お願いします」

 お人形のように可愛らしいのに自信が無い様子の小梅ちゃん。

「貴方が楓さんですね! カワイイボクと一緒に頑張りましょう」

 小梅ちゃんと同じぐらい可愛らしいけど、こっちはビックリするぐらい自身たっぷりな幸子ちゃん。

「はじめまして日野茜です! 8月4日生まれの16歳で、血液型はAB型! 身長はこの間の測定では148cm! 体重は――もっと仲良くなってから教えます! 趣味はラグビー観戦で、好きな食べ物はご飯&ご飯です!!」

 初対面の自己紹介で思わず圧倒されてしまった茜ちゃん。

 そして――

「初めまして楓さん! ●●●●です。一緒に頑張って夢を叶えましょう!」

「私は■■■。今日からよろしくね」

「★★★★15歳。高校一年生ですっ! 元気に明るく、トップアイドル目指して頑張りまーっす!」

 ●●ちゃんと■ちゃん、そして★★ちゃん――

 プロデューサーが担当するアイドルが八人そろってから、忙しい日々は真新しい日々にもなった。ヴォーカルレッスン、ヴィジュアルレッスン、そして……

「楓さん! 楓さんしっかり!」

「小梅ちゃんの方もヤバいって! 陸に上がった魚みたいになってる!」

「生きる……気力……無くしちゃった」

「何で!? 今日は最初だからダンスレッスン軽めだったのに!?」

 あ、嗚呼……運動はスタジオやロケ地と家との往復ぐらいで、家では一人で晩酌ばかりしていたツケが、こんな形で来るだなんて。

「ダンス参るでも……スマイルに……うっ」

「楓さああああああぁぁぁんっ」


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