楓「恋と呼ぶのでしょう」
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12: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/01/30(土) 07:41:58.10 ID:/1fb2KCg0
※ ※ ※



「すまないがこれは複数の部署をまたいだ決定事項なんだよ」

「プロジェクトを中止にしろだなんて言ってません。新しいプロジェクトの担当を、あの人以外にしてくださいと話しているんです」

 思わず立ち上がりそうになる衝動を何とか抑えて、今西部長に訴える。いつも好々爺然とした様子で私たちを見守ってくれている人だが、私が時間をいただきたいと声をかけた時から渋い顔をしていた。

「そんな簡単に言わないでくれ。彼だけじゃなく君たちだって新しい活動が決まっていて、それを支えるスタッフも内定しているんだよ」

 そんなに話が進むまで私たちが知らなかったとは。もう手遅れではという考えがよぎり、その考えを必死になって封をした。

「それにこれは彼にとってもいい話なんだ。このシンデレラプロジェクトは今後期待される大きな事業で、担当プロデューサーになりたいという希望は何人からもあった」

「でしたらその人たちの誰かに任せれば良かったでしょう」

「高垣君。これは君たちのプロデュースを評価された彼に任せることになったんだ。最初にプロデュースしてくれた担当が離れて不安な気持ちはあるだろうけど、大きな仕事を任せられた彼を気持ちよく送り出してはくれないか」

 気持ちよく送り出せるわけがなかった。今の彼から離れるなんてできるわけがない。

「……私たちのプロデュースはうまくいったかもしれません。ですけど、●●ちゃんたちは上手くうまくいきませんでした。そしてあの人はそれをまだ引きずっています。あの人のことを考えるのなら、離れずに残った私たちが一緒にいるべきです」

「……彼にシンデレラプロジェクトをまかせる理由は、もう一つあるんだ」

 諦めたようにため息をつくと、部長は申し訳なさそうに言った。 





「君と彼の距離が、少しばかり近すぎる」





「…………………………え?」


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