11: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/01/30(土) 07:41:25.16 ID:/1fb2KCg0
※ ※ ※
「そ、そんなの許せません!」
プロデューサーが私たちを集めて、来春から始まるシンデレラプロジェクトのために担当が代わると話した時、私は何の反応もできなかった。
幸子ちゃんが怒っている。怒っている幸子ちゃんに小梅ちゃんが動揺している。
幸子ちゃんをなだめながら、でも美嘉ちゃんも一緒に怒っていた。
茜ちゃんは何が起きているかわからずに、年長者である私とプロデューサーを代わる代わる見比べる。
プロデューサーはただ――沈痛な顔をしていた。
「楓さんも何とか言ってください! こんなの許せまんよ! 今のプロデューサーさんからボクたちまで離れるなんて!」
立ち尽くしていると幸子ちゃんが私に助けを求めてきた。
そうだ、幸子ちゃんが言う通りだ。今のプロデューサーは明らかに様子がおかしい。そしてその原因は明らかだ。それなのに私たちまで離れてしまったら、彼はどうなってしまう?
「プロデューサー」
私の呼びかけに彼は振り向く。この数ヵ月で、ずいぶんと距離が離れてしまったように思える。でもこうして“プロデューサー”と呼びかければ彼はちゃんと私の方を向いてくれる。
だってそうだ。彼は私たちのプロデューサーなのだから。そして彼から私たちを見捨てることなんてない。だから今回の原因は、きっと。
「プロデューサー。これはプロデューサーの意思ではなく、決定事項なんですか」
「……はい」
申し訳なさそうに目をそらす彼を見て、戦う決心がついた。
「わかりました。失礼します」
「え、楓さん!? いったいどこに!?」
呼び止める声に振り返る余裕もなく、私は速足で部屋を出ていった。
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