7:名無しNIPPER[saga]
2021/01/10(日) 19:39:45.62 ID:rddhOFwr0
間違いない、とうに電気も通っていないであろう観覧車がキイキイと鳴き声をあげ、少しずつ、ゆっくりと動き出しているのだ。
あの日の速度そのままに、思い出の中のゆっくりした緩慢な動きをなぞりながら、徐々に高度を上げていく。
ゴンドラの中、家族が座れるように向かい合ったイスの反対側、自分の真正面にもやのような者があった。微かな白いもやは見ている自分の前で少しずつ形を整えていく。少しずつ、頂上に近づくに連れてはっきりと
それは輪郭だけの朧気な存在でありながら、確かな確信があった
自分だ。あの日の幼い自分が目の前にいる。思い出の中の無邪気な表情も喜びに満ちたせわしない動きも見せず、目の前のイスに大人しく座っている。
ここまで見てきた幻覚でも、思い出の投影でもない。確かに、確かにそこにいる。輪郭だけの霞がかったもやであろうと、確かにいるのだ。
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