3: ◆3m7fPOKMbo[sage]
2020/12/29(火) 09:50:05.78 ID:A9598kCr0
*一週間前
イタリア・ローマ 礼拝堂
鞠莉(静かな場所だ――――――だけど、とてもきれいな場所だとも感じた)
鞠莉(私が洗礼を受けた場所、だから訪れるのは何回目かは解からない。だけれど、その記憶はさすがに古すぎたのか、曖昧)
鞠莉(それでも、ここに来た事があり、ここで愛されたという微かな何かが、私をこの場所へと更に招き寄せた)
鞠莉(奥の扉が開いて、人影が幾らか出てきた。聖職者かそれに準ずる人たちは次々と、脇によけた私に軽く会釈をしてから外へと出ていく。そして、最後に二人、人影がその扉付近で立ち話を始めた)
司教『はるばるありがとう、辛い記憶を掘り起こすような事ではあるが、必要な事でもあるのだ、許してほしい』
???『司教様、顔を上げて下さい。私の経験がお役に立てるのであれば、それで良いのです。あの時の弱い私を見返す事も、私には必要な事ですし』
鞠莉(どこか聞き覚えのある声だな、と視線を向けた)
司教『そうしてくれると助かる。もう数日、次は講義に参加してもらう事になるが…』
善子『はい。学んだ事を必ず日本に持ち帰ります』
鞠莉「…善子?」
善子「……鞠莉じゃない」
司教『おや、友人かね。おや……』
司教『昔、洗礼を施した子じゃないかね? ホテルオハラの』
鞠莉『わ、私に……ですか? はい、ホテルオハラの』
鞠莉(意外な繋がりがあるものだった。この司教様は私に洗礼を授けた人その人だったとは。そんな人が善子とローマの礼拝堂で話しているというのも、奇妙な縁だ)
鞠莉(司教さんは少しだけ話した後で後は友人同士で、と去っていった。しかし、善子がイタリア語にそこまで精通していたとは驚きだ)
鞠莉「意外ね。イタリア語、ネイティブと変わらないほどじゃない」
善子「そうでもないわ。勉強に迫られて、よ」
鞠莉「最近連絡取れない理由はイタリアにいたからなのね?」クスクス
善子「ええ…それなんだけど」
善子「変圧器、持ってない? 忘れちゃって」
鞠莉「ああー…規格が違うから充電できないものね」
51Res/81.26 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20