13:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 05:48:25.02 ID:uyzFntxd0
そうして時間は過ぎていく。
気付けば十二月になっていて、朝晩の冷え込みもどんどん厳しくなっていた。
俺には皮下脂肪という最強防寒具があるから大丈夫だけれど、朝の豊橋は白いもこもこのマフラーを巻いて、いつも寒そうに手を擦り合わせていた。
そのマフラーと少し白くなった肌が彼女の持つ神聖さをより一層際立たせていて、豊橋は他の季節よりも人に遠巻きにされていた。だからなんだって話だけど。
「よー、おはよ」
十二月初頭のとある一日も、俺は変わらず後ろの席の豊橋へ声をかける。
「ええ、おはよう」
豊橋もまだ学校に着いたばかりなのだろうか、もこもこマフラーを巻いたまま挨拶を返される。
「相変わらず寒そうだなぁ。もっと太った方がいいんじゃね?」
「……辰野君は今、全女性を敵に回す発言をした」
「おっとっと、こりゃあ失敬したでござるな」
相変わらず怖くない三白眼で睨まれて、肩を竦めておどけてみせる。女性に太るは禁句だと、母さんも常々、煎餅をかじりながら仰っておられたわね。
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