8: ◆ivbWs9E0to[saga]
2020/12/18(金) 21:27:55.90 ID:dICjsRIu0
コンビニを出ると、さっきまで濃紺だった空が白く明るい色に変わっていた。きっと「空色」なんだろうけど、さっきまでの空と比べると私には「白色」に見えた。
風はぴたりと止んでいて、駅を出た時のような刺すような寒さは感じない。
なんでか分からないけど、私は寂しさを感じてしまった。
「可奈、どうしたの?」
「朝、無くなっちゃったなぁって」
「……? まだ朝でしょう?」
そうだけど、そうじゃないの。構わず歩き出した志保ちゃんに遅れないように着いて行く。おでんの容器の暖かさからかから、袋に添えた指はまるで昼間みたいにぽっかぽか。そう思うと、今度はさっきまでの指先が悴む感覚が名残惜しくなってしまって。
「志保ちゃん、手袋とおでんと交換しよ?」
「嫌」
「おでんあったかいよ?」
じゃあ良いじゃない。と言って志保ちゃんは目線を私から切ってしまった。話はこれで終わりという合図。私は腹いせにその身を買われたおでんを睨みつけて「うぅ〜」と威嚇した。志保ちゃんはまた不思議そうな顔をしていた。
13Res/10.02 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20