72:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/02(水) 00:55:51.59 ID:tRJaplXx0
カーテンを開けば朝陽が飛び込み、今日の始まる空気が満ち満ちる……とはいかなかった。部屋から見上げる曇天は予報通りで、気持ちの良い陽射しは午後まで御預けのようだった。なんとも気怠い頭を抱えて、ベッドの肌触りが手招きしていて、それでいても朝は朝、やって来たからにはこちらも目を覚まし、今日という日を享受しなければ申し訳が立たない。千夜もそうだし、ちとせもそうだ。
「お嬢様」
真っ白な掛け布団に包まって、というより殆ど埋まっている彼女に声を掛けた。次いで朝食のオーダーを取るのだ。トーストだろうとシャインマスカットだろうとホットチョコレートだろうと、お気の召すままに供する手筈は整っている。
だがちとせは小さく呻いて、新しい朝にそっぽを向いたきりだった。
234Res/183.06 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20