29:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/01(火) 23:14:51.14 ID:6NLLeJ5C0
彼は悪戯っ子のように笑い、
「だな。怪我ないか?」
「いえ…… すみません。弁償します」
「弁償? そんなのいいんだよ。千夜が怪我してなくてよかった」
「……、それはまた後で、として。すぐ片付けますので」
「それもいいよ、と言いたいとこだけど、片付けは千夜が上手だよな。よし、任せた。僕は道具を」と、彼は立ち去った。
能天気、良くすれば鷹揚とでも言うべき足音が去るのを聞きながら、実地を検証した。陶器だから、細かい破片はガラス程には多くない。飛散もそう広範には及ばないだろう。ゴミ箱を退けたり、シンクの扉を開け閉めして、影に尖ったものが入り込んでいないかと探す。
――私も、≪上手≫じゃないけれど。
そこへ気怠げな声が掛かった。
「あー、やっちゃったねぇ」
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