白雪千夜「アリババと四十人の盗賊?」
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30:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/01(火) 23:15:28.44 ID:6NLLeJ5C0
 振り返ると、双葉杏が口に右手を当てている。千夜より頭ひとつ分低い妖精じみた身体に、着ているというより引っ掛けたような白いシャツは大胆に《ホリデイ》とあった。短いパンツから華奢な生脚がすらっと伸びており、千夜は裸足を連想してどきりとしたが、スリッパを履いていたので深い心配は要らないのだと分かった。一応手の平を向けて《危ないですよ》の意を通わせておく。

 杏は床に、しげしげと視線を注いだまま言う。
「プロデューサーの? 見事にバラバラだねー。怒られたでしょ?」

 質され、大きめの破片を蹴って集めようかと算段つけていたのをやめた。彼女の問いを千夜は解さなかった。彼はおよそ憤慨とは程遠い態度を取った筈だ。所有物を壊されたのだから、怒るのが本来適当なのだろうとは思うけれど、しかしそれで彼が怒鳴ったりするような絵面には想像も及ばなかった。マグカップ如きで、ではなく、人間性から考えて、《怒られた》かということを、杏に問われるのはどうも意外の感を拭えない。



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