白雪千夜「アリババと四十人の盗賊?」
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27:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/01(火) 23:13:25.96 ID:6NLLeJ5C0
 クッキーを焼いた。シートを敷いた天板に、並べたのは花や木やハート。皿に移していた時、どうかした弾みに一つ、取り落とした。ペシャ、と小気味良くもない音を立て、それはへし折れた。元は星型だったそれの、テーブルの上、一つ角が分かたれた無残な姿に、首を撥ねられた死体の印象を重ね、体が首を離すまいと抗い続けたような屑の軌跡を眺め、不気味に感じるのと、虚しい気持ちとに襲われた。

 昔の話だ。思い出しても色の付いていないような、いかにもノイズの走りそうな、瞳が紅く輝いていたのは信じられるけれど、それも感覚ではなく理屈でそれと分かるような、白と黒しかない世界の、その中で。

 ちとせは優しく微笑んだ。優しく、優しく囁いた。

「増えたね」
 
 
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