白雪千夜「アリババと四十人の盗賊?」
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21:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/01(火) 23:07:33.25 ID:6NLLeJ5C0
≪私は幸せでございます≫。

 その言葉は、喉も震わせられなかった。
 言えばいいだけ、ただの演技だ、演技でもない打ち合わせだ、割り切ってしまえばいい――のだが、しかし。
 ――しかし、どの口でこんな事を?
 ≪幸せ≫だと? 誰が? ……

「白雪さん、どうしたの?」

 演出家先生が言った。思えば、暫く沈黙が流れていたようだ。
「具合が悪いなら、ちょっと休もうか?」
「いえ、その…… 大丈夫です」
「そう? それじゃあ、この台詞は読みづらかったかな?」
「いいえ」千夜はかぶりを振った。「読めない、というか…… その」
「その?」
「モルジアナが、こんなこと言うのかな…… と」


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