白雪千夜「アリババと四十人の盗賊?」
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20:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/01(火) 23:06:50.37 ID:6NLLeJ5C0
「お任せ下さい、アリババ様。必ずお守りしますよ」
 これは上手くいった。カシムが盗賊に見つかった事をアリババに聞き、盗賊の追跡から身を守らなければならない事を知らされる場面。この時点ではモルジアナはカシムの奴隷なので、アリババと主従関係にはないが、この危機が彼女の仕える家自体に迫るものであるのを思えば、胸を叩いて請け合ってやるくらいのものだろう。

「盗賊が付けた目印かもしれない。よし、誤魔化しておこう」
 これも及第だ。家の門に書き込まれた記号を発見し、盗賊による襲撃の目印である可能性を看破するシーン。千夜ならせいぜい印を消すことを考えると思うが、『アリババ』の時代ではけっこう難しいのかもしれない。それを近所中に同じ印を付け、情報の差異を奪ってやろうというのは成る程、木を隠すなら森の中というのか、流石モルジアナ、叡智の人だ。

 彼女の立場を、場面を想像しながら、あるいは召使仲間とでもいうべき勝手なシンパシーから単に感心しつつ、千夜は台本の読み合わせをこなしていった。
 これが最初の仕事だからなのか、このまま進むのならやっていられそうだ、という前向きな気持ちが芽生え、調子が上がりつつあると言ってもよかった。

 だが、そう上手くもいかないようだ。
 台本の後ろ、殆ど最後の場面、モルジアナには最後の台詞で、千夜の目は止まった。頭の奥に引っ掛かりが生まれ、不安に近いものが胸をよぎった。
 そして、ついに千夜の番が来ても、――



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