164:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/02(水) 02:04:27.61 ID:tRJaplXx0
頃合いを見、頷いて合図を出す。三人が目を合わせ、一斉に啜った。
「うん、美味しい……」
頼子は目を閉じ、神経を集中させた風に言った。
「いいカンジ」と杏。
「美味しいよ、千夜」彼。
千夜も飲む。旨いし、甘い。満足な出来だと言っていい。ほっと胸を撫で下ろす。
プロデューサー室でのゆるやかなコーヒータイムは、それから静黙と過ぎて行った。窓の外、爽やかな青天の、少しずつ流れる雲や高度約七百五十mを行く飛行機を眺めながら、それ以外はほうとかふうとか、息遣いが主な音になった。
「千夜、おさとー。イエス、プリーズ」
杏がのんびり沈黙を割り、それが合図だったように、
「《悪魔のように黒く、地獄のように熱く》――」頼子が口を開く。「《天使のように純粋で、そして》――」勿体ぶってみせ、「――そして、《恋のように甘い》」
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