163:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/02(水) 02:03:37.63 ID:tRJaplXx0
滔々たる杏の語りを聞きながら、千夜はバナナシェイク味を用意しておくべきだったと悔いた。どんな顔をしただろう。眉をひそめ、飴を睨み、歯を剥き出して、一旦しまって、それからほっぺたを膨らませて、ああ、ほっぺたを膨らませて……。
「あら、泡が立ってきたみたい……」
「ん」
欲を持て余した指でスプーンを掴み、左手はジャズベの握りへ伸ばす。この真鍮の小鍋から、泡をすくって四つのカップに分けていく。それからまた、火にかける。
「手際がいいなぁ。格好いいぞ千夜」
「ほんとほんと。やっぱ杏に召使えてよ」
火にかけたり、下ろしたりを繰り返す。やがて出来上がったコーヒーを、注いでいく。粉が入り過ぎないよう、慎重に傾ける。それぞれにカップを渡し、粉が沈むのを待つ。
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