161:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/02(水) 02:01:50.70 ID:tRJaplXx0
寒くて眠れそうにないと言い、
「ココア淹れてよ」
「実際には」千夜はちとせに答える。「寝る際に暖めるべきは体の外側で、内側の体温を逃さなくてはいけないのですよ」
「へえ、流石千夜ちゃん」
「《睡眠が趣味》なので」
「真面目なんだね」
ちとせは背後から千夜に抱き付き、手を取った。
「お嬢様?」
「だったら千夜ちゃんが暖めてよ」
「ふふ、そうですね」
「千夜ちゃん、あったかい」
「暖まってますよ。……お嬢様が、太陽なのですから」
「ふうん」
ちとせは小さな声で返すと、捲ったカーテンから外を眺め、呟いた。
「ベイビー、月が綺麗だよ」
千夜も倣った。街並みは昼の喧騒を忘れ去り、それでも眠ることだけは拒んでいた。暗い空に浮かぶのはそれより暗い雲ばかり。月はと言えば、ベール越しの輪郭のように、仄明かりで存在を示すだけ。
「曇ってるじゃないですか」
「綺麗だよ」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
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