15:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/01(火) 23:03:35.58 ID:6NLLeJ5C0
「あいつが、…… プロデューサーが、貴女を大層褒めていましたよ」
「プロデューサーさんが……?」
文香が身を乗り出した。主導権を得た。
「しかめ面も可愛いな…… だとか」
「しかめ面、……」文香は戸惑いを表し、「そのように、見えていましたか……」と悄然、頬を揉んだ。
失言だったようだ。内心、肝を冷やす。成る程、彼の前では努めて顔を和らげたのに違いない。
「そういう表現では…… なかったかもしれませんが」
もし神だとか、吸血鬼の末裔だとかに≪真実を述べよ≫と迫られたなら、只今に一抹の、不満、あるいは焦れのようなものを感じ得ずではなかった事を、千夜は告白しなくてはならない。
喜べばいいのに、誇ればいいのに、どうしてそう儚げなんだ。美しいものは美しいものらしくしているべきだ。
そういうもの、なのだろうにせよ。
――Chapter1 “Mr.Blue Sky”
234Res/183.06 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20