133:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/02(水) 01:40:23.86 ID:tRJaplXx0
「しかも鏡見るだけじゃ駄目なんだ。俯瞰しないとな」
「何が言いたいのです」
「関係性の話だよ。千夜は今、自分の話をしただろ。だけどその白黒の世界には、確かにちとせがいる筈だ。白黒で充分だったのは、お互いを宝石のように守って来たのは、ちとせにも同じ事だったろう」
彼は言って、文香のガラスタンブラーに指を触れた。
「だけど僕は、ちとせの瞳に真っ赤な蕾を見たよ。そしてあの子の君主論は昨日、文香の為にも述べられた。ほとんど試すように」
「そうは思えないな」
「思わないの? 経験不足ってやつだな。ま、これからだ」
「経験……」
「経験、経験、経験だよ。レベルを上げなきゃ、ゾーマは倒せない」
「お前の悪趣味は知りませんが。……分からないな、お嬢様の事なのに」
「分からないか。大変だよな。ちとせの事だし、文香の事だし、千夜の事だからなんだな。だけど……」
「……それが、経験なのですか」
「うん、そうだ。……それでさ、千夜、言ってくれたな」
「……何を」
「そっかそっか、楽しかったか」
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