白雪千夜「アリババと四十人の盗賊?」
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130:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/02(水) 01:34:54.95 ID:tRJaplXx0
 望むもの、と言われ、千夜はちとせの隣を想う。守るべきもの、と言われ、千夜はちとせを想う。そんなものは分かり切っていて、だから今、くだらない自分が頭を悩ませているのだというのに。

「楽しめるばかりではないでしょう。アイドルという仕事が生存競争である事ぐらい、私だって知っている」
「ああ、大変だな」
「華やかな舞台を夢見ながら、実際は声の一つを上げることも許されず、ただ涙を流す者たちを、私でさえ見てきた。そうなっても背中を押すと?」
「辛い目にもあうよ。でも、笑顔じゃなかったら、楽しんでないのか? 泣くのや怒るのは違うって?」
「夢破れた者に、自分を知ってしまった者に、それも楽しいだろと? マキャヴェリストの言い分だ」
「はは、悪者みたいな言い方したかな」

「冗談じゃない。私だって…… 楽しいのかもしれないと思い始めていました。楽しんでもいいのかもしれない、と」



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