73:伊丹 [sage]
2020/11/21(土) 02:03:25.25 ID:F8D/mY4l0
それからお互い無言で。
バタ子が一本目最後の煙を吐き終わって、
灰皿にジュッと押し付けるのを見届けてから、私は尋ねる。
「タバコ、銘柄変えたんだ」
煙の香りが違ったことは、すぐに気がついた。
バタ子は、2本目のタバコをつまみ上げて、フリフリ振ったり、転がしたりして弄ぶ。
「私、これからは仕事の鬼になるから!
昔の男なんか、とっとと忘れて、戦士バタ子は強く生きてくんだから!」
「なによ、昔の男って。告白もできなかったくせに!」
「ははっ。それも、そうね」
疲れた目を細めて。
まだ吸い慣れていないであろう銘柄のソレに、
彼女はゆっくりと、
火を灯した。
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