56:名無しNIPPER
2020/11/08(日) 09:46:17.04 ID:FQVp12gN0
* * * * *
無事閉幕。片付けを終えて、同日夜。
ライラとプロデューサーはライブホール近くにあったカフェレストランで夕食をとることにした。オープンテラスの向こうには川が流れていて、この時間は少しだけ気候が穏やかで。
問題なくライブを終えられたこと、改めてここ最近いろいろ乗り越えて来られたことなど、まずは良かった事実を振り返る。
「それと、ライラがとっても素敵だったことも、ね」
改めてプロデューサーが口にする。本当に本当に、見惚れるような魅力があったし、成長しているのもわかるし、素敵だったよと。これからも頑張ろうね、と。
「……はいです。とっても嬉しいですよー」
目の前で告げられる彼の言葉に、幸せを隠せないライラ。俯き加減に視線を落とし、言葉を噛み締めるように振り返る。
「ライラさん、もっともっと、前に進めそうですね」
「よかった。本当に」
支えられることはなんでもするし、きっと守るから。
そう答えてくれる彼の優しい横顔を見遣るライラ。思いを馳せる。
運命の出逢いを信じる?
それはどこかの物語の始まりの言葉だったけど。
自分の物語があるのなら、それはきっと、ここに。そしてここから。
ぐう、と音がひとつ。ロマンチックを邪魔する音色は、どこか彼女らしくもあって。
「頑張ったもんね。いっぱい食べて、元気になろう」
「えへへ、ちょっと恥ずかしいですねー。でも、はいです♪」
運ばれてくる料理を丁寧に、笑顔で口に運ぶライラ。そんな様子を見つめるプロデューサー。
レッスンがあって、ライブがあって。苦労もあって、きらめくステージがある。そして今この瞬間がある。過程の果てにあるこの時間こそが幸せなのだと改めて感じていた。ライラも、そしてプロデューサーも。
63Res/192.16 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20