ライラ「アイスクリームはスキですか」
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50:名無しNIPPER
2020/11/08(日) 09:41:46.21 ID:FQVp12gN0

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 二句八節を終えたところで区切りとなり、一礼するライラ。拍手が起こる。アラビア語、しかも古典表現なので言い回しも少し独特。それでも、透き通った綺麗な声に、その仕草に、表情に、ファンを魅了するだけのものはじゅうぶんにあった。
 ライラが再びマイクを口に寄せ、説明を始めた。これは故郷に伝わる歌ですと。そして、遠く離れても頑張るという決意の現れでもあると。
「ライラさん、日本に来て、いろんな方とお話をしましたです。それはとてもとても大切な時間で、とてもとても大切な宝物でございます」
 希望や笑顔ばかりではなく、むしろ苦しみや悲しみがいっぱいあって。それでも人は生きるし、それでも人はきらめきを求める。
「人は助け合いと聞きます。ライラさんを応援してくださいますみなさん、スキでいてくださいますみなさん。ありがとうございますですよ。……ゆっくりとまた、お話ができたら嬉しいでございます」
 その「みなさん」には、故郷の父母も入っている。
「これは、宣言。……いえ、叫びでございますね」
 先の四行連、実は二句目の四行は文献に存在しない。
 いわゆる返歌のようなもので、後半はライラが考えに考えて出した、アンサーなのだ。
 メイドさんとプロデューサーに言葉を確認してもらいつつ形にしたものの、それはまぎれもなく、ライラの言葉。
「わたくしは、これからも今を噛み締めながら、綴りながら、スキを大切にしながら生きていきます。だから ――」
 だから。そう言って彼女は視線を動かした。カメラを探しているのか。
「だから ―― これからも見守っていてほしいです」
 もっともっと、素敵なライラさんになれますように。そうつぶやいて、笑顔を見せた。それは何より強く、何より確かなメッセージ。
「わたくしなりの、叫び。……アイ、スクリーム、でございますね♪」
 間髪入れず、おおー、という歓声と拍手があがったことに、彼女自身もほっとしていた。それは少なくとも目の前のファンには「届いた」ということで、それはつまりメッセージが間違っていないだろうということ。故郷はどうだろう。届くことを信じたい。そう思いつつ。



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