ライラ「アイスクリームはスキですか」
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28:名無しNIPPER
2020/11/08(日) 09:20:42.43 ID:FQVp12gN0

     * * * * *


 夜、ライラのもとにプロデューサーから電話があった。
「ライブ後にゆっくり話せていなかったからね」
 そう言って今日のフォローに入る彼。感じることも考えることも、振り返るなら早いうちがいいよね、とはプロデューサーがいつも言っていること。ライラはプロデューサーのこの言葉が好きだし、この時間も好きだった。
 しばし二人で話をした。ダンスのこと、歌のこと。立ち振る舞い、周囲のアイドルのこと。あの子が素敵だった、あの子が参考になった、などなど。そして双葉杏のこと。
「双葉さんがそんなことを、ね」
「はい。とても素敵な方でした」
 ライラは改めて思う。ここに来て、ここに生きていること。その恩義に報いる意味でも、アイドル活動で役割を担えるようになりたい。ステージに立って歌って踊って、きらめきをファンに届けること。それがプロデューサーや、スタッフのみんなや、アイドルのみんなへの恩返しになると思っているから。それはそうなんだけど、それだけではないのだ。千夏や、千秋や、杏の存在がなくてはライラは今この瞬間にこの感情になっていなかったはず。それはつまり、ライラが誰かに影響を与える存在になることだってあるのだ。もちろんそれはもっと先のことかもしれないけれど。そしてそれもまた、役割を担うことかもしれない。
「プロデューサー殿」
「うん?」
「ライラさんも、もっともっと、を大切にしていきたいですね」
 きっとできるよ。焦らなくていい。でもその気持ちは大事だし、大好きを見つけていこうね。そうプロデューサーは返した。
「好きはもう、いっぱいありますですよ」
 大好きもありますですよ、と続けたい気持ちはあった。だけどそれは控えた。今は、まだ。そしてそれは面と向かって、きっと。

「そうだ。明日また事務所で時間取れるかな」
 話が一段落したところで、プロデューサーが切り出した。
「少しまた、相談したいことがあるから」
 世の中、好調な話ばかりではない。
 そうだ、自分には背負っている問題がある。それとも向き合っていかねばならない。だけどきっとなんとかなると思う。今日のような自分なら。そしてみんながいれば。ライラはそう思った。




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