ライラ「アイスクリームはスキですか」
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27:名無しNIPPER
2020/11/08(日) 09:20:09.00 ID:FQVp12gN0

「あ、ごめん。難しく考えないで」
 うつむくライラに杏がフォローを入れる。それはいいことなんだよ、と。
「杏からしたらさ、ライラは本当にたくさんのことを背負って生きてきたわけで、そこは尊敬なんだよ。すごいなって。でもそんな数奇な運命を辿って今ここにいるならさ、今だからこそできる向き合い方ってきっとあるはずだから」
「今だからこそ、ですか」
 杏は続ける。
「なんというかね。物事に、深刻な態度で、神経すり減らしながら向き合うことだけがいいなんて話おかしいと思う。ライラは今何ができる? 歌も歌える、ダンスだってできる。多言語でコミュニケーションも取れるし、ファンだっている。そのどれもが、ライラっていう存在の表現なんだよ」
 ライラの今を。そしてこれからを。それを見せてあげることだって立派な会話だよ。そう語る杏はどこか恥ずかしげだったが、今度はきちんとライラの方を向いていた。
 タクシーが事務所前に到着し、ここで二人は解散となった。ライラはもっともっと話していたかったけど、今日はここまで、と杏がお開きを言い渡した。
「それじゃまたね。お疲れ様」
「はい、またねでございます。お疲れ様でございましたー」
 ぺこり、と一礼。
 また会いたくなる「またね」だと、ライラは思った。



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