9:飢餓感 8/8[sage]
2020/10/30(金) 18:16:13.81 ID:w3nnd9V30
そして、全身が眠気に包まれて、意識までもがふんわりと宙を漂い始めた頃、ベッドの外から話し声が聞こえてきた。すぐ隣にあった温かさは残されていたが、熱の発生源が感じられない。声を抑えて話しているようだったが、物音のしない部屋の中でそうしていても、ひなたには話し手の一方が丸聞こえだった。
――もしもし。あ、夜遅いけど、大丈夫だったか? いや、別に用があったわけじゃないけど……悪いかよ。用が無かったらあたしから電話しちゃいけねーなんてこと、無いだろ? ちょっと今日、事務所の友達と話してて。家族仲のいい子でさ……。うん。ウチの家族はどうしてんのかな、って。ん? 学校ならサボらず行ってるぜ? 仕事ある時は抜けてるけど。え……いや、実家にいつ帰れるかは、ちょっと分からねぇよ……いきなり仕事入ったりするし。年末年始は、無理じゃねえかなぁ……。まぁ、一応プロデューサーに話してみる。あ、あたしがテレビに出たら見て……あ〜、やっぱ見ないでくれ。見ないでいいってば。
明日はいい朝が迎えられそうだ、とひなたは眠りかけの頭でぼんやりと考えていた。
終わり
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