18:milktea ◇FbOBNw0his[sage saga]
2020/10/24(土) 17:12:56.08 ID:bAY8bfVX0
「皆は頑張ってくれてるのに、俺だけ何も……!」
彼が憔悴したのは、自分の仕事が上手くいかない事の不甲斐なさと、それによって雛菜たちに事務所の他の人たちへの引け目を感じさせてしまう事への申し訳なさが原因で。きっと自分に厳格な彼は、自分のことを許す事が出来ないのだろうと思った。そのくらいの事は、雛菜でも分かる。だから。
「大丈夫。プロデューサーが頑張ってくれてるのもちゃんと知ってるよ〜?だから次は……」
19:milktea ◇FbOBNw0his[sage saga]
2020/10/24(土) 17:13:48.31 ID:bAY8bfVX0
***
「……ありがとう。少し落ち着いたよ」
「そっか〜〜〜良かった〜」
20:milktea ◇FbOBNw0his[sage saga]
2020/10/24(土) 17:14:28.16 ID:bAY8bfVX0
***
『ええ……?流石にそれは……なんていうか、ちょっと恥ずかしくないか……?』
『今この状況は恥ずかしくないの〜?』
21:milktea ◇FbOBNw0his[sage saga]
2020/10/24(土) 17:15:17.96 ID:bAY8bfVX0
***
「雛菜と一緒にいると幸せ」
彼の顔が少しずつ幸せで覆われていくのが分かって、それは雛菜といる時間が間違いなく幸せなものである事の証明でもあるから、少し嬉しくなる。体にふわふわとした浮遊感を覚えて、今なら宙に浮けるような気がした。
22:milktea ◇FbOBNw0his[sage saga]
2020/10/24(土) 17:16:24.05 ID:bAY8bfVX0
5.
「……あの〜」
「ん?」
23:milktea ◇FbOBNw0his[sage saga]
2020/10/24(土) 17:17:03.38 ID:bAY8bfVX0
今までとは比べ物にならないくらい……失敗したあの時以上に規模の大きい仕事。それでも、それなりに上手くはやれる自信はあった。あの時とは状況が違う。少ないとはいえそれなりに仕事をこなしてきて、場数は踏めている。それに、彼の熱意を見て仕事のオファーをくれる人間が作る番組だ。あの時のような扱いは受けない。
仕事に成功したらどうなるだろう?他の仕事のオファーが増えて、アイドルとしての活動も本格的に忙しくなる。透先輩も円香先輩も小糸ちゃんも、もちろん雛菜も、それは嬉しい事だと思う。
『皆は頑張ってくれてるのに、俺だけ何も……!』
24:milktea ◇FbOBNw0his[sage saga]
2020/10/24(土) 17:18:02.49 ID:bAY8bfVX0
じゃあ、失敗したら?
「…………」
運転している彼の隣で、気づかれないように小さく息を吐いて、思いついた事を頭から消すように努める。直感で、これは考えてはいけないタイプの思い付きであると理解する。
25:milktea ◇FbOBNw0his[sage saga]
2020/10/24(土) 17:18:59.16 ID:bAY8bfVX0
「……間違いだったら悪いんだけどさ」
「嫌な事でもあった?」
「……どうしてそう思ったんですか〜?」
26:milktea ◇FbOBNw0his[sage saga]
2020/10/24(土) 17:19:41.37 ID:bAY8bfVX0
それでも、これで会話は終わり。
「ねえ、プロデューサー」
だからこんな事は聞く必要はないし。
27:milktea ◇FbOBNw0his[sage saga]
2020/10/24(土) 17:20:44.71 ID:bAY8bfVX0
***
「よし、着いたぞ」
「ありがとうございます〜」
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